作家K先生の「現代女性の性意識」に対するご意見――挿入する性・挿入される性(2)
'02.7.5(もう3年以上もまえだ……。このとき、作家のK先生は60代目前、わたしは24歳)に「現代女性の性意識」をテーマに行なわせていただいた対談のK先生のご意見のご主旨です。
プライバシー保護のため、K先生に関しての詳細なご紹介は避けますが、主な文学賞歴としては文学界新人賞や芥川賞候補など……とだけご紹介しておきます。
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麻生さんは少女売春などにも関心があるようなので、ちょっとこの面でのあなたの感想を知りたいのですが。【※K先生には拙作「二面相」をお読み頂いている】 少女売春そのものにはわたしは興味も関心もないのです。少女は自分の将来にとっての物事の判断、つまり損得勘定ができない年齢ですので、楽しければいい、気持ちよければいい、その上にお金まで入るのなら言うことなし、おとなとセックスしても自分は何も変わらないし結婚するのにも支障がない、と考えていてもこれは思考や社会経験が未熟であったり不足だから仕方のない面があります。 少女たちが成人してから少女の頃に考えていたこと、してきたことのツケ(負の遺産)の大きいことに気づかされるでしょうが。 わたしに関心があるのは物事の判断が十分可能な20代、30代女性のセックス観です。 現代社会はひと昔とは物事の判断基準は異なります。ウーマン・リヴ運動以来、男子は木登りしてもいいのに女子が木登りしてなぜ悪いのや、という反論から、いまでは女子が木登りしてもそれを止める道理はありません。わたしもそれでいいと思います。このことの拡大解釈で、結婚前から男はあちこちの女とセックスしても当然と見られているのだから女があちこちの男とセックスして何が悪いのや、ということでこちらもセックスの解放感が女子高校生あたりから進んでいます。 わたしはこのこと自体については男女平等でとくに問題はないのですが、一方で大きな問題というか過誤を若い女性は抱えているとも考えています。 男女平等社会で女が男と同様に結婚前にあちこちの男とセックスしてなにが悪いのやという平等意識(1)と女性の胸裡にある意識(2)との差異が気になるのです。1の意識が先走りして2の意識がそれに付いていけない女性が多すぎるのです。 男とセックスするときには1の意識でやっているつもりでも、その男に振られたり、その男が他の女に乗り換えたりすると途端に2の意識が頭をもたげてきて、泣いたり喚いたりじくじくしたり、わたしはもうこれでお終いと自暴自棄になり、果てはヤクザがらみの風俗の世界に足を突っ込んでしまう女性もいます。 どうしてこうなるかというと2の意識の向上がないからです。1の意識で幾多の男とセックスを経験しても、このことを上回る形で2の自己の向上があれば1の経験は女性のとって活きた経験になるのですが、事実は逆で将来を自滅させていく女が多いのです。 風俗的な見方では女の値打ちは高齢化するにしたがって下がります。30代女と20代女では男の目は20代の女にいきます。とくに金を持っている高年齢の男ほど若い女を欲しがり、金のない若い男はときには30代、40代の女をいっとき追いかけたりしますが、いずれ若いいい女がいればそちらに乗り換えてしまいます。 世の中の男女の関係は風俗的に見ればこんなものです。 女子大生の一部にはセックス交渉を持つ相手は金のない若い男性よりも、ホテル代を払ってくれてさらに会社の話(つまり社会の話)などをしてくれる男性、30代、40代の妻帯者との関わりが結構多いのです。女子大生は1の意識で不倫であろうがなかろうが自分の意志でセックスして何が悪いのや、ということになりますが、妻帯者とのセックスで最終的に得をしている、というよりはいい思いをしているのは男の側です。なぜなら妻と若い恋人と二人の女とセックスできるからです。また女子大生辺りは可愛いもので、私はあなたと一緒にいるだけで幸せ、セックスしてもらえるだで幸せ、奥さんからおなたを奪おうなんてことは考えていない、とけなげなことを言うものだから、妻帯者の男にとってはこんな好条件の話はない訳です。自分が妻と築いた生活や城を脅かされることがないのですから。 もし女子大生が私はあなたと結婚したい、奥さんと別れてください、と要求するとほとんどの男はその女子大生から離れて別な女子大生に乗り換えます。きみはいつからそんなにしつこい女になったのや、と嫌悪の目を女子大生に向けます。 結局、破局が来て、じめじめと泣いたり自己嫌悪に陥るのは女子大生です。なぜこうなるかというと1の意識だけが当初は先走りして、2の意識改革、自己成長が進展していないからです。あっさりと別れてしまう女性もいると想像はしますが、この場合も自らの精神をアウフヘーベン(昇華)した結果なのか、たんなるアバズレ精神に成り下がっているのかは検証しなければならないでしょう。 アウフヘーベンした女子大生ならば男とのセックスは性本能の解放程度に割り切り、かたわら大学院進学の勉学に精励したり、英会話の修得に励んだりして、男との不正常な関係は女子大生のほうからピリオドを打つでしょう。寂しい感情もいっときの性本能がもたらしたことやと解釈したりして。二人で共生していく将来設計の描けないセックスは、どんな理屈を付けても性本能のなせるわざです。 将来設計を描ける男女関係は、傍から眺めていてもポジティブな雰囲気というか、二人で夢をプランしたり実行したりが主で、セックスはこのことに従属するだけのものです。男女関係ですからまったくセックスを回避した関係も正常ではないでしょう。セックスにはセックスの効用が相互にあります。だが実際は、街のレストランや喫茶で見かける男女はセックスの匂いだけが紛々としていて、どこか女がネガティブな感じを受けます。健康的なセックスであれば大いに肯定しますが、どうもこの部分が相変わらず前世紀的ではないか、もちろん男性の女性観はまだまだ遅れていますが、男は女によって作られるという観点から言うと、もっともっと女には人間性のほうで精神向上を期待したいです。それが容貌、スタイル以上に女の輝かしい魅力とも思えるけどね。 以上、今日の若い女性のセックス観は1が先走っているだけのような気がするのですが、あなたはどう感じますか。結論として女が男にとって都合のよい思考回路に知らず知らず陥っていて、本来のウーマン・リヴにもなっていない気がします。 ここに述べたことはもっともシンプルな男女関係にすぎませんが。 それとなぜこのような提起をしたかの理由だけど、それは若い女性の創作する小説を読むと、男と女のセックスを含めての関わりは浅く描いてはあるけど、結末は女がなんとなくじくじくした形で終わり、目新しさがないのです。男性が旧来の女性観で女性を描くのは、男性の幼稚を物語っているだけのことですが、女性が男性の幼稚をベースにしたような男女関係を描いているとしたら、この女性は前世紀的だなと思い、男の私としてはかような女性から学ぶべき物が何もない、つまらない作品を読まされた、その失望感から提起してみたのだけど。
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【関連記事】
「詩作品「二面相」(テーマ:売春)――挿入する性・挿入される性(1)」
「24歳当時のわたしの「現代女性の性意識」に対する意見――挿入する性・挿入される性(3)」
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