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先日、「性差医療ってなに?――女性のプチ不調の原因とは!?」で、女性ホルモンの話をしたので、その関連で、今日はPMS(月経前症候群)の話をしたいと思います。
PMS(月経前症候群)とは、月経の3~14日くらいまえから起こる諸症状のこと。身体的な症状と精神的なものに症状とに大別されます。
代表的な症状の例を挙げてみましょう。
●身体的なもの
乳房が張ったり、痛んだり、刺激に対して過敏になったりする
下腹部の張り
手足のむくみ
吐き気や動悸
食欲不振もしくは食欲亢進
関節や筋肉の痛み
体重の増加
めまい
便秘あるいは下痢
にきび、吹き出物 など
●精神的なもの
イライラして怒りやすく、反感や闘争心を抱きやすくなる
気分が落ち込み、憂鬱になる
ちょっとしたことで緊張する
絶望感や孤独感に駆られる
無気力
正常な判断力を欠く
情緒不安定になる
集中力の低下
不眠
パニック
妄想
涙もろくなる
疲れやすい など
PMS(月経前症候群)には、女性ホルモンが大きく関与しています。ここでは、ホルモンの変動と月経周期などを表した図を使って、わかりやすく解説しようと思います。
ただし、ここで大前提として、先に理解しておいてほしいことがあります。
この図は、単に「平均的な」女性のホルモンや基礎体温の変動、月経周期、排卵日などを例示するだけものです。あくまでも、「たとえば」の例にしかすぎません。かならずしも、あなたやあなたの恋人が、これに当てはまるとは限らないのです。
なぜなら、女性のそういったホルモンや基礎体温の変動、月経周期、排卵日などには、個人差が、とても大きいからです。ホルモンの変動、月経周期や排卵日などは、ひとそれぞれ。それがあたりまえなんです。身体のリズムだって、個性のひとつなんですから。
これをしっかりと頭に叩き込んだ上で、はじめて、右の図を見てください。 クリックすると拡大されます。
……なぜ、わたしがこんなことをしつこくいうかというと、自分がこれに当てはまらないからといって、過剰に深刻に悩んでしまう女性や(ただし、あまりにもおかしいようであれば、一度婦人科を受診してみてください)、また避妊をおろそかにしてしまう男女が出てくるのを防ぐためです。
特に、避妊については、安易な気持ちで「安全日」だの「危険日」だのと、勝手に自己判断をしてしまわないでください。
そして、「中高生のみなさんへ――学校では教えてくれない・はじめてのセックス(5)【コンドームのこと.2】」でも触れましたが、避妊方法は、かならずコンドームを使ってください。
コンドームがなければ、セックスしない。コンドームの使用は、相手に対するエチケットであり、セックスのマナーでもあります。そして、なによりも、相手に対する「思いやり」です。「思いやり」に欠ける相手と恋をしたり、セックスをしたりして、男女とも、自分を傷つけないようにしてくださいね。
前置きが長くなりました。
さて、本題です。
図(クリックで拡大)では、代表例として、月経周期が28日の女性のホルモンの変動と、基礎体温の変動が示されています。
図の前半から、青い線で表されている「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と、水色の線で表されている「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の動きを見ていくと、月経まえ14日目くらい、かつ基礎体温が排卵日を境に高温になっている時期に、これら2つのホルモンが激しく変動しているのがわかるでしょう。
これが、PMS(月経前症候群)を引き起こしているのです。
つまり、図のように、ホルモンのアンバランスが起きることに伴って、さまざまな症状が出現しているのです。
では、この2つのホルモンとはどういったものなのか、説明しましょう。
■エストロゲン(卵胞ホルモン)
<働き>
○女性性器の発育を促す
○子宮内膜に増殖期変化を起こす
○頸管粘膜の分泌を促す
○膣の粘膜上皮の増殖を促し、膣の自浄作用を助ける
※このホルモンは、月経が終わってから、排卵までのあいだに、分泌されています。月経後の青い線の上がり方を見ればわかりますね。
■プロゲステロン(黄体ホルモン)
子宮内膜を、増殖していく期間から、分泌される期間へと、移行させるホルモンです。
子宮内膜とは、受精卵である赤ちゃんが、心地よく眠るためのベッドのようなもの。増殖期間に、子宮内壁に厚く重なるように作られていきます。
プロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵期以降に分泌され、受精卵が着床しやすいように、増殖した子宮内膜を柔らかく保ちます。
その分泌期間は、月経まえの約2週間。
そのあいだに、受精卵が着床しなければ、厚く増殖した子宮内膜が体外へ排出されます。
これが月経なのです。
また、それぞれのホルモンの役割を助けるホルモンもあり、役割を助けている以上、これらもPMS(月経前症候群)の一因として、取り上げておくべきでしょう。
■卵胞刺激ホルモン
卵巣に働きかけて、原子卵胞の発育を促すことで、卵子が作られることを手伝っています。
そして、エストロゲン(卵胞ホルモン)といわれるホルモンの産生、分泌を促しています。
■黄体化刺激ホルモン
成長した卵子に働きかけ、排卵を起こさせます。
PMS(月経前症候群)は、多かれ少なかれ、たいていの女性に起きるものですが、決して軽視はできないものです。
心身ともを襲うこの諸症状は、日常生活に差し障るほどにつらいもの――実は、わたしも、PMS(月経前症候群)で苦しい思いをしているひとりなので、よくわかるのですが、この時期には、身体に負担をかけないよう、無理は禁物です。また、重大な決断などを、この時期にすることは危険です。普段の判断力や精神とは違う状況にあるのですから。
月経のつらさ、ましてや、おそらく、その存在自体、あまり(正しくは)認知されていないであろうPMS(月経前症候群)のつらさは、他人には、なかなかわかりにくいものです。
男性にはもちろん、女性同士だって、先述のように個人差が大きいものですから、理解するのは、とても難しいことでしょう。
けれど、もしあなたの身近なひとに、PMS(月経前症候群)に悩まされているひとがいたら、どうかやさしく気遣ってあげてください。
生理休暇のとりにくさも改善すべきです。
また、女性自身でも、自分がPMS(月経前症候群)だと気付いていないひともいるでしょう。
まずは、こういったPMS(月経前症候群)というものがあることを、これを読んで知ることができたとしたら、それが第一歩目です。
第二歩目は、月経前の自分の心身の状態を、よーく客観的に観察することです。あなたの心身に耳を傾けてみると、実は悲鳴をあげていた……なんてことはありませんか? 悲鳴を聞き逃してはいませんか?
そして、第三歩目。自分は、月経まえには、あたりまえに、かならずそうなってしまうもので、仕方がない、避けようがないのだとあきらめてはいませんか?
実は、PMS(月経前症候群)には、きちんとした治療法があるのです。食事などのちょっとした生活習慣を直すこと、ビタミン剤や漢方薬、ピルを使った薬物治療など。
「PMS(月経前症候群)のつらさを訴えるなんて、甘えだと思われるかも……」そう案じている女性も多いはずです。いいんです、いくらでもまわりに自分はPMS(月経前症候群)だからと、事情を説明しておき、理解を求めることも、そして婦人科で治療を受けることも。
「たかがこれくらいのこと」などではありません。
当事者はもちろん、否、当事者のみならず、どんな女性も男性も、PMS(月経前症候群)のことを正しく知っておくこと。当事者が、まわりに理解されることは、とても大切です。そのためには、まず、自分で自分自身をきちんと理解しておきましょう。
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