同時に改正すべき問題があるのでは? 「女性の“再婚”も、離婚後6ヶ月間できません」―離婚後300日以内出産規定
現行法では、男性は離婚後すぐに再婚できますが、女性には6ヶ月間つまり180日以内の再婚は認められていません。
理由は、まさに件の民法で、離婚後300日以内に生まれた子ども=前の夫とのあいだの子とされることに由来しています。
子どもが後の夫とのあいだの子とされるのは、婚姻から200日以降に生まれた場合です。
もしも婚姻200日よりあとで、かつ、離婚後300日以内に子どもが生まれてしまった場合。
そうなると民法の定めるところでは、元夫・現夫、どちらの子か推定できなくなる、と。
(すると、相続の問題なども生じます)
よって、このような状態を避けるため、女性には6ヶ月間の「再婚禁止期間」が設けられています。
ただし、「法律上の父」の推定が重複する恐れのない以下の場合は、例外として、離婚後6ヶ月以内でも再婚することができます。
・離婚前にすでに妊娠していて、出産後に再婚(出産当日から可)
・前夫との再婚
・高齢で妊娠できる可能性がない
・不妊手術を受けており、妊娠できない(医師の診断書と証明書が必要)
・夫の生死が3年以上不明で、裁判により離婚を認める判決を得ている
わたしは区別をも差別だと混同して論じる人間ではありませんので、自分が離婚したときも(再婚はいまだしていませんが)、「これは女性という性をもって生まれた者として受け容れること」と、当然こととして受け容れました。
しかし、それはわたしの離婚が、たまたま複雑化したり、長期化したりしなかったから問題がなかった、というだけのこと。
これが、今回の動きのきっかけとなった横浜市の夫妻のような場合だったら。
たとえば、離婚問題が長期化して、事実上婚姻関係が破綻していたにもかかわらず、離婚届の提出がままならないだけなど、紙切れ一枚の話、といった場合だったら。
離婚後300日以内に生まれた子どもが前夫の子となるという民法の規定について、安倍総理は「見直しの要否を含めて慎重に検討する」と述べたそうです。
婚姻形態、親子、家族のあり方は多様化しています。
その一方で、婚外子、またその母に対する差別の目は依然としてあります。そういった方々にとって、生きづらい社会なのです。
(それでいて少子化だなんだと、まったくナンセンスな話です)
子どもが幸せに育つための環境、育てるための環境を見直すべきときにきているのではないでしょうか。
最後に、念のためですが、離婚と、俗に言う不貞を助長する目的で述べているものではないことを付記しておきます。
生まれてくる子どもたちの幸せを願って。
生きにくいひとたちが、生きやすい社会へ。
* 大川内 麻里のサイト:OkawauchiMari.net *
* http://www.okawauchimari.net/ *
※参考:
離婚後300日以内出産規定、首相「見直し含め検討」
2月15日14時52分配信 読売新聞
安倍首相は15日、参院厚生労働委員会の少子化問題に関する集中審議で、女性が離婚後300日以内に出産した場合、子供は戸籍上、離婚前の夫の子供になるという民法の規定について「見直しの要否を含めて、慎重に検討する」と述べた。民主党の千葉景子氏の質問に答えた。
この規定については、再婚した後に妊娠し、早産などの理由で離婚後300日以内に出産せざるをえなかった女性らが「現在の夫の子供」とした出生届が受理されない事例が明らかになっている。
こうした女性らを支援するNPO法人は法務省に対し、規定の見直しを求めていた。
最終更新:2月15日14時52分
読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070215-00000505-yom-pol
民法772条:離婚後の妊娠も「前夫の子」 事実曲げる法
「離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子」との民法772条の規定により、横浜市内の夫妻は、離婚成立後の妊娠が明確なのに、生まれた子供を「前夫
の子」とされた。それを覆すための法的手続きに半年かかり、費用は100万円を超えた。妊娠期間は「十月十日(とつきとおか)」と言われ、通常280日。
規定は、父親のいない子供とならないよう出産の遅れを考慮して20日分加えられた経緯があるが、夫妻は「離婚後の妊娠なのに理不尽」と訴える。【工藤哲】
女性(29)は04年1月25日に離婚。同年8月12日に今の夫と再婚した。妊娠39週と3日にあたる11月11日に女児が生まれた。正常出産だったが、離婚後291日に当たり、夫を父親とする出生届は受理されなかった。規定の存在は、その際に初めて知った。
このため、夫婦は前夫を相手に親子関係不存在確認を求めることにした。手続きは、前夫が住む西日本で行われたこともあり、交通費やDNA鑑定など計約130万円かかった。
法律学者によると、1898年の施行時からある規定は、父親を推定し親子関係を安定させるため設けられた。当時の統計では、妊娠期間が200~300日がほとんどで、規定は子供の立場を考慮し、最も長い300日に定められた。
夫(37)は「母子手帳には『6月30日で20週』と書かれている。逆算すれば離婚後の妊娠は明らかだ。役所は、しゃくし定規に法律を適用するだけ。医学的事実もねじ曲げられる」と憤る。
× ×
厚生労働省の人口動態統計では、出産の時期を37週未満(早期)、37~41週(正期)、42週以上(過期)に分けている。早期は80年には全体の4.1%だったが、04年は5.7%。過期は80年の4.4%から04年は0.6%になり、早期産率が高くなる傾向にある。
東京電力病院産婦人科の田辺清男科長は「不妊治療で、双子や三つ子など多胎する割合が増えたため、早く生まれる傾向にある」と分析する。
毎日新聞 2007年1月25日 3時00分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070125k0000m040163000c.html
「前夫の子じゃない!」 民法772条と戦った悲しい経験
「離婚から300日以内の子は受理せず」の不合理
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000004160
死後妊娠で父子関係認めず 凍結精子訴訟で最高裁
09/04 22:05
西日本在住の女性が、夫の病死後に凍結保存していた精子による体外受精で出産した男児(5)について、亡夫の子として認知するよう国側に求めた訴訟の上告
審判決が4日、最高裁第2小法廷であった。中川了滋裁判長は「死後懐胎で生まれた子と、死亡した父との間の法律上の親子関係の形成は認められない」と述
べ、女性側が逆転勝訴した2審・高松高裁判決を破棄し、男児の認知請求を棄却した。女性側の逆転敗訴が確定した。
民法は親の死から3年以内であれば、死後の認知を求める訴えを起こせると規定しているが、親が生きている間の妊娠が前提となっている。
判決理由の中で中川裁判長は「死後懐胎で生まれた子と死亡した父との間には、親権や扶養、相続といった法律上の基本的な法律関係が生ずる余地がない」と指摘。
その上で「親子関係の形成に関する問題は、死亡した者の保存精子を用いる人工生殖に関する生命倫理、生まれてくる子の福祉、社会一般の考え方など多角的観
点から検討し、親子関係を認めるか否か、認めるとした場合の要件や効果を定める立法によって解決されるべき問題」と述べ、法整備の必要性を指摘した。
判決は4人の裁判官全員一致だったが、滝井繁裁判官と今井功裁判官の2人は補足意見で、生殖補助医療によって生まれてくる子に関する親子法制について、速やかな法制度の整備を促した。
判決によると、女性の夫は白血病と診断され、骨髄移植手術で放射線を浴びて無精子症になることを懸念して精子を凍結保存。女性は夫が平成11年に病死後、凍結保存した精子で妊娠し、13年に男児を出産した。
女性は嫡出子(結婚した男女の子)として出生届を提出。しかし、民法上は夫婦関係の消滅後、300日以上を経過して生まれた子は嫡出子と認められず不受理
となった。家裁に不服申し立てをしたが却下され、最高裁まで争ったが不受理が確定。14年6月、死後認知を求めて提訴した。
1審・松山地裁は、こうした方法で生まれた子を亡くなった父の子とする社会的認識は乏しい-などを理由に訴えを棄却。これに対し2審は、「妊娠時の父の存在を認知の要件とする理由はない」として、亡父の嫡出子と認める判決を言い渡していた。
■最高裁判決の骨子
一、民法の実親子に関する法制は、死後に懐妊した子と死亡した父の親子関係を想定していないことは明らかだ
一、両者には親権、扶養、相続などの親子関係の基本的な法律関係が生じる余地はない
一、多角的な観点から検討し、親子関係を認めるか否かや、認める場合の要件や効果を定める立法で解決されるべきだ
一、立法がない以上、法律上の親子関係の形成は認められない
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/17811/
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コメント
2007年02月15日
21:05
Oさん
こんにちは。ニュースから来ました。
おっしゃること、一行ごとに「ほんとにそうだなあ」
という思いで読ませていただきました。
この件って、「なんでそれぐらい待てないの?」
とか「女性のふしだらを増徴させるだけ」みたいな
論点がずれた話が多い中で、このようにまとめられて
整理された意見に触れることができ、ほっとした思いです。
ありがとうございました。
-----------------------------------
2007年02月15日
22:48
大川内 麻里
★Oさん★
おちよさん、はじめまして。コメントありがとうございます! そんなふうにお読みくださったとは、とってもうれしいです。
やはりそういう意見が多いんですね。
当事者意識を持って考えたり、想像力を働かせることの難しい問題だからでしょうか。
わたしがこういった考えをもったのは、自分の経験もありますが、さまざまな方々の生き方に触れてきたからかなと思います。出会いにいつもいつも感謝です。
こちらこそ、こんな素敵なコメントをくださって、ありがとうございました。
Oさんのページにもお邪魔させてくださいませね。
-----------------------------------
2007年02月16日
00:21
Oさん
大川内 麻里さん
お返事までありがとうございます。
この問題って当事者意識がないとどんどんずれた方向に
行ってしまうもののような気がします。
それに、ニュースでこの法律の改正に反対意見の人が
結構男の人に見受けられるのも気になる。。。
自分には関係のない、人のことに、(それも重大事項に)
勝手なことを言ってるだけのような気がして、他の人の
意見を拝見しながらもいやな気持ちになっていたので
このようなご意見が聞けてとても嬉しいです。
大川内 麻里さんは、ご自身でも書かれていますが
いろんな方々の行き方に深い感性でもって触れてこられたのだなあとご推察します。
私は35歳で結婚し36歳で出産しています。入籍後の翌々月
に待望の妊娠が発覚しました。少しでも早くあかちゃんがほしい
という気持ちが強かったので、再婚して子供がさずかり
新たに人生を立て直したい、という気持ちと
高齢出産になるあせりはとてもよくわかります。
そんな思いがあったので、ご意見はとても心強い気持ちに
なりました。ありがとうございました。
-----------------------------------
2007年02月18日
16:06
Mさん
> 生まれてくる子どもたちの幸せを願って。
> 生きにくいひとたちが、生きやすい社会へ。
本当にその通り!と思います。
民法772条の嫡出推定の問題については2年以上関わってきましたので、感慨深いものがあります。
ご興味のある方は↓のHPに色々詳しく書いてあります。
http://homepage2.nifty.com/idotomoki/migoto000.htm
投稿: (コメント転載) | 2007/04/24 10:45