« 社会的なサポート活動をする人間が、広く一般に自分を知ってもらう意義<「夜回り先生」に勧められ自首=覚せい剤使用の男を逮捕-佐賀> | トップページ | 「デートDV」とは &DV被害者・加害者に経験者のわたしが勧める解決のヒント »

性犯罪、DV(ドメスティックバイオレンス)、PTSD……傷ついた方たちへ

 

ご質問・ご相談はこちらまで⇒ 性と愛の悩み相談CAFE

 しばらくぶりの更新になります。

 実は、6月から4ヶ月間、混合性不安抑うつ障害(パニック障害・うつ病・PTSD)の治療のために入院していました。

 帰宅すると、性暴力、DV(ドメスティック・バイオレンス)など、被害に遭われた方々、あるいはそのご家族やパートナーの方から、またたくさんのメールが届いていました。

 おひとりおひとりへのお返事はあらためてさせていただきますが、4ヶ月の入院生活を経て、いまわたしが言えることをここに記しておきます。


 わたしのPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、8歳のときに遭った性犯罪の被害によるものです。

 当初、このブログは、わたしがその傷を克服していく過程をつづることを目的としてたちあげました。
(いまは病気のことは、主にこちらのブログに書いています。よろしければごらんくださいね!http://blog04.okawauchimari.net/


 あのころのわたしは、なんとか心の傷を克服したくて必死でした。
 これを癒すことができれば、“男性と正常な関係を結べない”自分も変えられるはずだって。
 職業柄、その体験を小説として昇華することさえできるのではないかって。
 おぞましいあの記憶を、受けた屈辱の痕跡を、どうにかしたい。治したい。
 そうじゃなければ、自分には未来がない。


 いまならわかります。
 はっきり言って、焦っていました。
 焦って焦って、思いばかりが先走って、空まわりしていました。


 2年ほどまえにカウンセリングを受けたことがあります。
「治さなければ」「治したい」その一心で。

 でも、そのときは気持ちとは裏腹に、被害について、どうしても語れなかった。
「8歳のときに性犯罪の被害に遭った」それは言える(言えるようになった)、でもその先の言葉が継げない。

 結局、たった2度ほどのセッションで、ひどく苦痛になり、そのカウンセリングは断念しました。
(そのころの日記はこちらです↓
カウンセリング初回
病名にPTSDが加わる

2度目のカウンセリングを終えて
カウンセリングで事実と向き合う痛み

わたしがカウンセリングの記録をブログにアップするワケ」)


 今回、入院したときにも、治療目標として、わたしははじめ「性被害のPTSDを克服すること」を挙げていました

 でも主治医の態度は違いました
 先生は、こうおっしゃったのです。

「それは、いまいきなりふたを開けて、無理にほじり出すことだろうか?」と。

「いつかかならず自然と向き合えるときがくるはず。
 それまでふたをしておくのもひとつだよ」

 つまり、「いま」は「そのとき」ではないのではないか、と。


 はっとしました。

 以前にカウンセリングを断念したときも、自分で自然と向き合える状態なんかではないのにもかかわらず、「治さなければならない」という焦りから、無理矢理に向き合おうとしていました
 そしてかえって傷口を広げることになってしまっていたのです。

 それをわたしはまた繰り返そうとしている――。


 そう気付いたわたしは、先生にこう告げました。

「性被害のことは、向き合えるそのときまで、“かためるテンプル”しておきます」


“かためるテンプル”というのは、わたしが心理的な問題を考えるときによく使う言葉なのですが、元ネタは“かためるテンプル”という使い終わった油を固めておく薬剤のこと。

 つまり、無理にほじりださずに、かといって、無理に忘れてしまおうと努力するのでもなく(往々にして忘れようとすればするほど忘れられず、ぬかるみにはまってしまうものです)いったんかためて、心の奥深くにそっと沈めておこう、ということです。


 ですから、入院中、PTSDの治療は直接は行ってもらっていません。

 が、それでも、いまのわたしは、本来の自分らしさを取り戻しつつあり、勇気と希望をもつことができるようになってきているのです。


 つらいよね?
 苦しいよね?
 強くなりたいんだよね?
 負けたくないんだよね?
 前に進みたいんだよね?
 どうにかなりそうなんだよね?
 どうしたらいいかわかんないんだよね?


 でも、考えてみて。
 いま、本当に克服するべき「そのとき」なのかどうか。
 だいじょうぶ。
 自然に向き合えるときになってからでも、決して遅くはありません。

 それまでは、“かためるテンプル”しておく。


 わたしは、そんな方法を選びました。


 わたしという一個人の単なるひとつの事例にすぎませんが、もしも、だれかの小さなヒントになることができたとしたら、それほどうれしいことはありません。


【関連記事カテゴリ】
●性犯罪
●DV(ドメスティックバイオレンス)
●子どもを狙った性犯罪

【関連記事】
[用いられる言葉による犯罪の残虐さの軽視]わたし、こと大川内麻里は、8歳のときに『性犯罪』の被害に遭い、人格と心理的子宮の破壊を受けました。20年を経たいま、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの苦痛を受けています。繰り返します。大川内麻里は、8歳のときに『性犯罪』の被害に遭ったのであって、決して『いたずら』などといった軽い悪ふざけを受けたわけではありません。

レイプ被害者・被害児の心理(4)~家族の受け止め方

大川内 麻里のサイト OkawauhiMari.net
http://okawauchimari.net/

|
|

« 社会的なサポート活動をする人間が、広く一般に自分を知ってもらう意義<「夜回り先生」に勧められ自首=覚せい剤使用の男を逮捕-佐賀> | トップページ | 「デートDV」とは &DV被害者・加害者に経験者のわたしが勧める解決のヒント »

●DV(ドメスティック・バイオレンス)」カテゴリの記事

●セックスレス」カテゴリの記事

●小児性愛(ペドフィリア)・小児性愛者(ペドフィル)/俗称:ロリコン、ロリータコンプレックス/子どもを狙った性犯罪」カテゴリの記事

●性犯罪」カテゴリの記事

●男と女の心理学」カテゴリの記事

●社会問題」カテゴリの記事

心と体」カテゴリの記事

心理学」カテゴリの記事

恋愛」カテゴリの記事

社会」カテゴリの記事

コメント

とりあえずですが、お帰りなさいといったとこでしょうか?

完全復帰ではないようなので、無理せずいきましょう。

私事ではございますが、いま「性と生の教育」「食育」「スポーツ指導」の3本柱で健全育成団体の設立を計画しています。

最近、学校では授業の中で「性」に関するいろいろな講演会を取り入れるようになってきました。しかし、一般の大人対象の講演会はまだまだです。というか専門職の人たちによる専門職の人たちのための講演会は盛んに行われているのですが、どれだけ勉強しても、問題は「いかに一般の大人を巻き込むか」だと思います。

「~思春期研究会」と呼ばれるグループが結構増えてきていますが、多くは専門職たちの勉強会だけで終わっています。
そんなグループではなく、ちょっと一味違う「思春期こども研究会」を立ち上げたいと思っています。

また報告させていただきますが、麻里さんと多くの悩みを持つ方々の「生きるヒント」になるような活動のできる団体をめざして頑張ってみたいと思います。

投稿: スポーツ指導員 | 2007/10/24 00:01

★スポーツ指導員さま★
スポーツ指導員さん、長らくご無沙汰してしまったにもかかわらず、こうしていらしてくだっさってありがとうございます!

またご活動をさらに広く展開されているようでうれしく思うとともに、敬服いたします。

> どれだけ勉強しても、問題は「いかに一般の大人を巻き込むか」
同感です。
まず知ってもらうこと、関心や危機感をもってもらうこと、ここが大きなハードルなのですよね。
でもそのぶんそこを乗り越えたら、その効果は本質的なものが得られる。

スポーツ指導員さんのご活動で、なにかご協力させていただけることがございましたら、ぜひお声掛けくださいね。

応援しています!

投稿: 大川内 麻里 | 2007/10/24 18:29

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/58392/16767761

この記事へのトラックバック一覧です: 性犯罪、DV(ドメスティックバイオレンス)、PTSD……傷ついた方たちへ:

« 社会的なサポート活動をする人間が、広く一般に自分を知ってもらう意義<「夜回り先生」に勧められ自首=覚せい剤使用の男を逮捕-佐賀> | トップページ | 「デートDV」とは &DV被害者・加害者に経験者のわたしが勧める解決のヒント »